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下肢静脈瘤の種類
下肢静脈瘤の種類について
伏在静脈瘤
下肢静脈瘤の7~8割は、この伏在静脈瘤です。伏在静脈は、足の付け根や太もも、ふくらはぎにある太い血管で、これがボコボコと蛇行するように浮き出てきます。
大きい静脈瘤がボコボコできるという見た目の症状に加え、足のだるさやむくみなどが起こります。
伏在静脈瘤は、大伏在静脈瘤と小伏在静脈瘤の2種類に分けられます。
大伏在静脈は、くるぶしから始まって脚の付け根で大腿静脈と合流している最も長い静脈であり、足の内側を通っています。この大伏在静脈が、日常の動作や妊娠・出産などによって圧迫され、合流部に負荷がかかって逆流防止弁を壊します。進行により徐々に下腿部に広がっていき、ふくらはぎなどに静脈のコブを形成します。
小伏在静脈は、足の裏側を通っている太い静脈です。深部静脈と合流するのが膝の裏ですので膝からの影響を大きく受け、膝への負荷が合流箇所にある逆流防止弁を壊します。これにより、深部静脈から伏在静脈へ血液の逆流が起きて、ふくらはぎ周辺や膝の裏側に静脈瘤が目立つようになります。
側枝静脈瘤
側枝静脈瘤は、足の血管の末端の静脈で逆流防止弁が壊れることで発症するもので、伏在静脈本幹には静脈瘤や静脈逆流が見られません。大伏在静脈や小伏在静脈から枝分かれして、足全体に広がる静脈の一部の血管が浮き出て膨らんだ状態になります。
分枝静脈瘤とも言われ、細い血管で起こり、範囲も狭く、血液の滞留量も少ないので、自覚症状が現れにくいのが特徴です。
原因は、大伏在静脈の分枝部分の弁不全、不全穿通枝という静脈の機能不全による逆流などとされています。まれに内腸骨静脈という骨盤内の静脈の逆流が原因となっている場合もあります。
静脈瘤ができやすいのは、膝周辺の裏側、太腿、ふくらはぎです。
伏在静脈瘤と併発する場合も多いため、伏在静脈瘤の見落としがないかは重要な診察ポイントとなります。
網目状静脈瘤
青く、網の目に広がって見えることが多いタイプです。これは、皮下の浅い部分にある直径2~3mmの細い皮下静脈が拡張してできます。膝の裏側に起こるケースが多く、血管の隆起はありません。
クモの巣状静脈瘤
網目状静脈瘤よりも皮膚に近く、より細い直径1mm以下の真皮内静脈が拡張してできます。放射状に広がったクモの巣のように見え、血管の隆起はありません。症状が現れやすいのは、大腿部、下腿部、膝裏などです。積極的な治療をするより、継続して様子を観察するケースが多い下肢静脈瘤です。
混在型 クモの巣状静脈瘤
クモの巣状静脈瘤には、赤紫に見えるタイプと青白く見えるタイプがあります。この2つのタイプが同時に現れると「混在型」と呼ばれます。これは拡張した血管の違いによるもので、赤紫は毛細血管が、青白いのは細静脈が拡張したものです。
治療が必要な場合
下肢静脈瘤は良性疾患であり、血栓が血流に乗って脳梗塞や心筋梗塞を起こすことはありませんし、重症化しても足を切断するようなことも起こりません。
治療が必要なのは、うっ滞性皮膚炎が起こっている場合、静脈瘤による症状がつらい場合、そして外見が気になる場合です。
見た目の問題から、スカートを履いたり、みんなで温泉に行ったりをあきらめている方もいらっしゃいますが、専門の医療機関で適切な治療を受ければ改善していきます。早急な受診が必要な病気ではありませんが、できるだけ症状の軽いうちに治療を受けることで、治りも早くなります。
症状が悪化してくると、かなり見た目に影響するようになっていきますし、皮膚トラブルが増えて、治りにくくなり、再発もしやすくなります。気になる症状がある場合には、信頼できる専門の医療機関に相談してみましょう。