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シャント手術
シャントとは
平成29年11月からシャントPTA対応可能になりました。(現在はPTAのみ対応で、シャント増設手術は行っていません)
人工透析を行う場合、毎分約200mlの血液を循環させる必要がありますが、腎不全の患者様は、静脈に十分な血液量を確保できません。そのため、バスキュラーアクセスと呼ばれる透析装置と患者様との間で血液を循環させるための血液の出入り口が必要となります。その1つがシャントです。
シャントは、動脈と静脈をつなぎ合わせて作った血管のことで、シャントを作ることで十分な血液が確保できるようなります。
ただし、シャント内に血栓ができて血管が詰まってしまったり、閉塞してしまうと、透析治療が出来なくなってしまうため、定期的にメンテナンスすることが重要です。
人工透析について
腎不全になり、腎臓機能の働きが10%以下まで低下してしまうと、自分の体内で血液のろ過が行えず、老廃物が溜まってしまいます。そこで、生命を維持させるために行うのが透析療法です。これは、腎臓の代わりにダイアライザーという透析器を用いて、老廃物を排出し、血液を浄化させます(血液透析)。失った腎臓機能は元に戻ることはないため、週に3~4回治療を行う必要があります。
シャント手術について
シャント手術には外シャントと内シャントの2種類があります。
外シャント
外シャントは、静脈と動脈を身体の外側でつないだものです。血管がむき出しになるため、感染症のリスクが高いため、現在はほとんど行われておりません。
内シャント
内シャントは、ご自身の血管を使う場合と人工血管を使う場合の2種類の方法があります。患者様の血管の状況を検査したうえで、どちらの方法を選択するか判断いたします。
自分の血管を用いる場合
AVFという手法です。皮膚下で静脈と動脈を吻合させ、シャントを作製します。最も代表的なシャントで、詰まりにくく、長期間の使用が見込めます。通常、シャントは利き手とは逆側の手首付近で作製されますが、動脈硬化などで血管の状態が悪い場合や、過去に採血や点滴を繰り返した影響で血管が傷ついている場合、再度新しいシャントを作製する場合は、肘付近で作製することもあります。ただし、自己血管の場合、すぐには穿刺できず、2~4週間後から開始となるため、予めシャントを作っておき、透析に備えることをお勧めします。
人工血管を用いる場合
AVGと言う手法です。静脈が細い、詰まっているなど、自身の静脈でシャントを作れない場合は、代わりに人工血管を用いてシャントを作製します。これにより十分な血液が確保できるようになりますが、自己血管に比べて、閉塞と感染症のリスクが高まります。術後、すぐに穿刺が可能ですが、自己血管に比べて、寿命も短く、おおよそ2~3年で荒廃します。
動脈表在化
心不全の方は、シャントが心臓の負担になってしまうため、適応できないことがあります。そこで、動脈を皮膚の直下にまで移動させ、直接動脈に穿刺して、血液透析を行うことができるようにします。これが動脈表在化手術です。この場合、血液透析を行う際には、静脈と動脈の2本の血管に穿刺する必要があるため、自身の静脈があることが前提です。
心不全の患者様や、内シャントが作成できない患者様には有効な方法です。
シャントトラブルについて
シャントトラブルが起こると、透析治療に支障が出てしまいます。未然にトラブルを回避するために、定期的なメンテナンスや検査が重要です。また以下のような症状があれば、シャントトラブルの可能性がありますので、早めにご相談ください。
シャント狭窄 | シャントが狭まってしまうことです。特徴として、シャント音が弱く、すきま風のような音が鳴ります。透析時の脱血が悪く、返血圧が高まります。 |
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シャント閉塞 | シャントが詰まった状態です。血管が細くなってしまったり、血栓ができてしまうことが原因です。閉塞してしまったシャントは透析で使用できないため、早急に処置が必要です。 |
シャント血管瘤 | シャントがコブ状に膨らんでしまった状態です。小さいうちは放っておいても問題はありませんが、痛みがでたり、感染していたり、短期間で拡大する場合は治療が必要です。 |
静脈高血圧 | シャント側の上肢が腫れてしまう状態です。シャントが狭窄・閉塞してしまうと、逆流を起こし、うっ血することで腫れてしまいます。 |
スチール症候群 | シャント側の指が変色したり、痛くなります。指が壊死してしまうこともあります。シャントの血流が悪くなることで、指にまで送られる血液が送られず、酸素不足になってしまうことが原因です。 |
感染 | シャントが細菌に感染してしまい、痛みが生じたり、腫れることがあります。感染した場合は、シャントを早めに閉じ、新しくシャントを形成する必要があります。特に人工血管は、感染リスクは高くなります。 |
シャントPTA
シャントが狭まったり、閉塞してしまうと、透析治療を行えなくなったり、治療時間が長引いたりしてしまいます。こういった場合、シャントPTAという治療を行い、シャントを修復させます。
この方法は、まずカテーテルという細い管をシャント内に挿入します。このカテーテルの先端にはバルーン(風船)がついており、狭窄や閉塞が起きた場所までカテーテルを進め、バルーンを膨らませることで、シャントを拡張させます。また血栓ができて閉塞している場合は、カテーテルを使って吸引したり、血栓を溶かす薬を併用します。
シャント手術の流れ
1初診・検査
初診時では、超音波検査を行い、静脈と動脈の状態を確認いたします。
他院から紹介された方は、紹介状もお持ちください。
2検査結果と手術の説明
検査結果をもとに、どの血管を使ってシャントを作るかご説明いたします。
3手術
手術は局所麻酔下で行います。
所要時間は自己血管の場合は約60分、人工血管を使う場合は約120分くらいが目安です。
4透析開始・メンテナンス
無事シャントが作成されたら、透析治療を開始します。自己血管の場合は、透析を開始するまで2~4週間ほど時間がかかります。
また、シャントトラブルを防ぐために、定期的にシャントをメンテナンスすることをお勧めします。